セシルが生まれたのは徳島県の、とある竹藪の中…
兄弟一の怖がりで、捕獲されるときはずいぶん逃げ回って捕まえられなかったそうです。
一旦、母犬と一緒に見逃されて、また竹藪の中をさ迷うことになりました。
でも、後日またボランティアさんが心配して探しに来てくれて、ようやく竹藪生活から脱出することになり、愛知県の
里親さんに引き取られることになった母犬と一緒に名古屋にやってきました。
隣に写ってるのが私の本当のママです♥
生後3ヶ月の時、ママと一緒に名古屋へやってきました。
とにかく人間が怖くて怖くて・・・
徳島で預かって下さった方にも懐けない、名古屋のボランティアさんのところでも怖がってるばかり
ちっとも懐けなくて、この子の里親さんは見つかるのかしら?
ボランティアさんは頭を抱えてしまったそうです・・・
そんな時、ドッグトレーナーのママからメールが来て、他のワンちゃんがお目当てだったそうなんだけど、
私を引き取ってもらえないかと頼んでみたら、引き取り手がないのはかわいそうだし、ママにとっても勉強になるかな、
と思ってOKしてくれたそうです・・・
そんなわけで、ママのお家でお世話になることになりました。
機会があったら一度は訪ねてみたい、生まれ故郷の徳島…
とにかくたくさんの人からおやつを食べさせてもらうのが一番!
まずは近所の人達に毎日お散歩の時に会うたびにおやつを渡して食べさせてもらいました。
お散歩中に出会う人では、犬連れの人にはすべて声をかけて、飼い主さんからおやつを与えてもらい、子犬の頃はいろんな人が声をかけてくれるので、声をかけてくれた人にはもれなく、おやつを渡して与えてもらいました。
そして、しつけ教室の生徒さん、カインズのお客さん、警備員さん、遊びに来た姪っ子達、下校時の小学生達…
とにかく少しでも関わった全ての人の手からおやつを与えてもらいました。
ただ、ここで気をつけなくちゃいけないのは、セシルのような怖がりな子には、絶対に人の方から食べさせようとしないで犬の方から近づいて食べるのを待ってもらわなくちゃいけないって事なんです。
そして食べたからといって手を伸ばして撫でてもらわないようにして、まずは、ただ食べさせるだけで終わらせる事です。
そして食べられるようになってきたら、オスワリやお手などの簡単な指示を出してもらってから与えてもらうようにすると、人との関わりを楽しむようになって、より心を開きやすくなります。
見知らぬ人を怖がらないようにするということは、犬にとって最も重要なことで、16週齢までに人との接触がなかった子犬は人間を恐れるようになるといわれています。
獣医さん、トリマーさん、ペットホテルのスタッフ、また、災害なので誰かのお世話になるかもしれず、生活の中で見知らぬ人との関わりは避けて通れません。
それに人に懐いてくれる犬はみんなに愛され、犬だけではなく私たち飼い主をもハッピーにしてくれます!
家族以外の人にも心を開いてくれる子になるよう、必ず人への社会化をしましょう。
セシルも2歳になる頃にはどんな人の手からでも、普通のフードでも近寄って食べられるようになり、初めて会う人でも自分から近寄っていくようになりました。
人間の中でも、男の人は特に苦手でした。
男の人って身体も声も大きいし、怖がってつい後ずさりして時には珍しく吠えてしまったり…
お散歩中に会う犬を連れたおじ様達や教室に来る男性には少しずつ心を開けるようになったのですが、セシルの男性恐怖症は手強いものでした。
そんな時、親友の花ちゃんが近所の喫茶店によく行ってると知り、大好きな花ちゃんと一緒なら恐怖もやわらぐのでは、と。
花ちゃんの通う近所の喫茶店に通ってみることにしました!そこは、看板犬の総一郎君がいて近所の犬好きなおじ様達が集う喫茶店です。
最初は、花ちゃんがいてもおじ様達に迫られると怖がってしましたが、無理に食べさせようとしない事だけをお願いして、会うたびにスペシャルなおやつを食べさせてもらいました。
そのうち積極的で人懐っこい花ちゃんにつられて躊躇しないで食べられるようになっていき、食べられるようになってからは、簡単な指示を出してもらって遊びながら食べることでおじ様に囲まれた喫茶店の中でも緊張せずにいられるようになり、
花ちゃんと一緒にいつもどおりに遊んだりしてすっかりみなさんと仲良しになってくれました。
犬にとって、声が大きくて予測のつかない動きをする子供ややはり声が大きく身体の大きい男性は恐怖を抱きやすいといわれています。
かといって避けていてはいつまでも苦手なままになってしまいます。
子供達と触れ合わせる時は特に、怖がりの子の場合は絶対に! 騒がずゆっくりとおやつを食べさせてもらうようにお願いしてください。
最初は男性には大好物のビーフのおやつの塊を渡さないと、近寄って行けなかったセシルですが2歳になるまでには普通のフードで、生徒さんはもちろん、
教室を見学している初めて会う男性でも、体の大きな人でも、サングラスをかけている人でもすぐに普通のフードでも食べに行くようになり、時には自分から近寄っていったり、一緒に遊んだりもして完全に男性恐怖症を克服しました!
我が家は街の中にあります。
なので、周りには犬にとって怖いものがいっぱいです。
大きなトラックの通る道路、工事現場、学校・・・
お散歩の時はわざわざそういう所をコースに選んでセシルを連れて行きました。
そして、大きなトラックが近づいてきたり、工事現場に近づくたびにいつもスペシャルなおやつを食べさせました。
また、突然の音にビックリした時も、その後に必ずおやつを食べさせるようにして、毎日毎日平気になるまで続けました。
セシルの様な怖がりさんでなくても、初めてのお散歩を怖がって歩かない子はたくさんいます。
しかし怖がるからといってお散歩にあまり連れていかなかったり、無理矢理リードで引っ張って歩かそうとしては、余計にお散歩が嫌になり逆効果です。
そして子犬の頃にお散歩不足で外の刺激に馴らしておかないと刺激に対して過剰に反応し、人や犬に吠えたり、パニックを起こすようになります。
私達飼い主がお散歩の楽しさを教えてあげなければなりません。
ゆっくりと外の世界を眺めさせておやつを食べさせたり、簡単なトレーニングをして遊んでみたり、匂いかぎを思いっきりさせてみたりしてその子自身がお散歩が楽しいと感じるようにしてあげましょう。
交通量がとても多いです。
’07年10月、つまり10ヶ月になった時にいつも散歩に行く近所の神社でお祭りがありました。
でもまだパニックになるかもしれないと思い、いつも遊びに行く公園にいきました。
ところがそこで、大好きな花ちゃんとバッタリ!
これからお祭りに行くというので、花ちゃんが一緒なら大丈夫かも、と思い一緒に行くことしました!
古くから伝わる氏神様の祭礼で、夜店がいっぱい。大きな山車が何台も出ていくので怖がるというか・・やはり固まってしまったセシル。
でも、花ちゃんがそばにいてくれたから少しづつ落ち着いてきて、とりあえず、おやつを食べられるようになりました。
でも、お正月に初詣に行った時はやっぱりちょっと固まってしまい、まだまだ人混みに慣らすには時間がかかるな、、、とは思いましたが、
その後も必ず花ちゃん同伴で、積極的にイベントに連れていきました。
公園だ〜い好き!
ママと一緒に遊んだり、トレーニングしたりするの。
公園のブッシュは幼い頃の記憶、あの竹藪のような匂いがして…
行ってきました。
ナゴヤドームのイベント「わんにゃんドーム2008」へ!
やっぱりかなり緊張状態のセシル。
花ちゃんはマイペースでいろんな人やワンちゃんに挨拶したりして楽しんでたみたいだけど、セシルは・・・緊張のあまり私の声もきこえなければ、大好きなおやつも口にできない状態でした。
こういう時は無理に食べさせようとせず、飼い主はリラックスしていつも通りにふるまい、犬を少し無視しておくのが一番です。
しっぽがさがっちゃって・・・
少し会場を見て歩いた後、アジリティーのできるドッグランを発見したのでここなら少しはリラックスするんじゃないかと思い、さっそく行ってみました。
花ちゃんはすぐに色んな競技にトライしてたけど、セシルはまだまだ落ち着かなくて、普段飛んでるハードルも全然とべませんでした。
でも、しばらくいたら少しリラックスしてきて花ちゃんと一緒におやつも食べれるようになったし、ほかのワンちゃんに挨拶もできるようになりました!
そして、いつも教室でやってるジャンプとスラロームだけはなんとかできました!ふぅぅ〜
ようやくおやつがたべられました。
ほかのワンちゃんにもご挨拶
しっぽが上がったよ!
この障害物はとび越えられました!
ドッグランを出たらまたトーンダウン・・・
とりあえずセシルのおやつや車に張るステッカーを買いにお店のあるブースへ行きました。
おいしそうなおやつがいっぱいあったけど、この場所も人がいっぱいだから、セシルにとってはそっちの方が気になって、またまたしっぽが下がってしまいました。
花ちゃんは相変らずいろんな人やワンちゃんと交流してます。
セシルも早くこんな風になってくれればいいな・・・と思いつつ、ランチを食べにとなりのイオンにある「スリードッグカフェ」にいってみたのですが、
今日はドリンクしか飲めないということで、とりあえずまた私達のおやつを買って帰ることになりました。
でも、ここも人がいっぱいなのでセシルは緊張しっぱなし・・・
そしてここでも花ちゃんはみんなの人気者でした。
色々なイベントに連れて行ったり、お祭りに連れて行き続けた結果、2歳になるころには人混みでもほとんど緊張する事がなくなりました。
最初少し緊張してシッポが下がっても、すぐにシッポが上がっておやつをおねだりするようになって、セルフコントロールができるようになりました。
このセルフコントロールできるようになる事が重要で、それができるようになるまで、私達飼い主は愛犬をフォローしてあげなければなりません。
時間はかかってもとにかくやり続けることです。
セシルの社会化大作戦、成功の秘訣は大好物の食べ物と大好きな花ちゃんの存在です。
この2つがセシルにとって、怖いものや嫌なものを嬉しいもの、好きなものに変えてしまう強化子となったのです。
怖がりを克服するには、その子がすべてを忘れられるくらい夢中になれる魅力的な何かを見つける事が大きなポイントとなります。
どんな遊びが好きか、どんな食べ物が好きか、大好きな犬友はいるか、、、
それを見つけるためにも、子犬の頃には愛犬とじっくり向き合い、色々な事を経験させながら把握しておき、それを利用しながら怖がるものを克服させましょう。
そして社会化トレーニングは子犬の頃だけやるのではなく、継続しなければ後退してしまう場合もあります。
愛犬の変化に注意しながら、少なくとも落ち着いた成犬期(2〜3歳)を迎えるまで、継続しておこなわなければなりません。